日本の実用新案登録出願の流れ – Basic Information about Utility Model Applications in Japan

日本の実用新案登録出願の流れ

Typical Procedure Flow of Utility Model Applications

Typical Procedure Flow

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国内出願

出願人は、願書・明細書・実用新案登録請求の範囲・要約書・図面を特許庁に提出します。特許出願とは異なり、実用新案登録出願では図面の提出が必須となります。また、出願時において第1-3年分の登録料を納付する必要があります。

PCT出願(国際特許出願)の日本への国内移行の場合には国内書面を特許庁に提出します。PCT出願が英語で提出されている場合、国内移行時には明細書等の日本語翻訳文の提出も必要となります。尚、出願時には委任状の提出は不要となります。

実用新案登録出願は、無審査登録制度を採用しているため、出願日から2-3月後に実用新案権が設定登録されます。

また、実用新案登録出願に係る考案の保護対象は、物品の形状、構造又は組合せに限定されます。このように、考案の保護対象は、特許出願に係る発明の保護対象とは大きく異なり、構造物のみに限定される点に留意が必要となります。

  • 出願内容のヒアリング(リアル又はオンライン面談)
  • 先行技術調査(必要に応じて)
  • 請求項案(クレーム案)とこれらに対応する作用効果の提示
  • ↑に対するクライアントからの回答
  • 明細書案・図面案の提示
  • ↑に対するクライアントからの回答
  • 出願手続き

方式審査・基礎的要件審査

実用新案登録出願は無審査制度を採用しているものの、設定登録されるためには方式審査・基礎的要件審査を通過する必要があります。補正命令を受けた場合、出願人は補正命令の送達日から60日以内に手続補正書の提出等により応答する必要があります。

基礎的要件違反の種類は以下となります。

  1. 出願に係る考案が物品の形状、構造又は組合せではない。
  2. 公序良俗違反
  3. 請求項の記載様式違反
  4. 単一性違反
  5. 著しい記載不備

例えば、出願に係る考案(より具体的には、請求項に記載の考案)の対象がプログラムや方法である場合には、基礎的要件に違反するものとして補正命令を受けることになります。また、請求項に係る考案の一部に製造方法に係る事項(即ち、プロダクト・バイ・プロセスに係る事項)が記載されている場合であっても、全体として考案の対象が物品の形状や構造である場合では基礎的要件違反とはならないと思われます。

設定登録

実用新案権が設定登録された後、実案新案公報が発行されます。実用新案権の存続期間は出願日から10年となります。

実用新案技術評価書

何人も登録実用新案の技術的評価(具体的には、新規性や進歩性に関する評価)を示す実用新案技術評価書の作成を特許庁に請求することができます。

実用新案登録出願では、新規性・進歩性に関する実体審査を受けずに権利が発生するため、実用新案権者は、実用新案技術評価書を提示して警告をした後でないと、侵害者に対して実用新案権を行使することができません。

さらに、実用新案権者が実用新案権を侵害者に行使した後に、実用新案登録の無効審決が確定した場合には、実用新案権者は権利行使により相手方に与えた損害を賠償する責任を負うこととなります(相当の注意をもって権利行使をした場合には責任を免れる可能性あり)。

また、実用新案権の設定登録後、出願日から3年以内であれば、実用新案登録に基づく特許出願を行うことができます。この場合、実用新案権の放棄による登録抹消手続きが必要となります。尚、出願人又は権利者が技術評価請求をした場合や他人による技術評価請求の旨を示す通知の受領日から30日を経過した場合には当該特許出願を行うことはできません。

国内における実用新案登録出願の件数の推移に関しましては、こちらの記事もご参照ください。

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