特許庁よりステータスレポート2025が発行されておりましたので、今回は当レポートから見る各法域の日本出願の傾向について簡単にご紹介します。以下に示す各グラフはステータスレポート2025に掲載されたものとなります。
特許出願件数
2024年における特許出願件数:306,855件
‐PCT出願からの国内移行件数:72,888件
‐国内移行を除く特許出願件数:233,967件
2024年における特許出願件数は、2023年から約6700件増加し、2年連続の増加となりました。特に、PCT国内移行を除く国内特許出願の件数は昨年から約9000件の増加となっております。

出願人国籍の傾向は以下となります。

日本を除くと米国、中国、韓国、ドイツの順に日本への特許出願件数が多い結果となっております。外国からの日本特許出願の多くがPCT出願経由であることが分かります。また、他国と比べて米国や韓国の出願人はパリ優先権に基づく直接出願が多いことがわかります。
日本の中小企業の特許出願件数の推移は以下となります。2023年における特許出願件数は4万件を突破しました。

実用新案登録出願件数
2024年における実用新案登録出願件数:4,655件

実用新案登録出願の件数は年々減少していることがわかります。
次に、実用新案技術評価の請求件数の推移を以下に示します。こちらも同様に請求件数は年々減少しております。実用新案権は無審査で登録となるため、実際に権利行使する際には特許庁への実用新案技術評価の請求が必要となります。つまり、実用新案権に基づく権利行使活動が停滞している実態を示しています。

意匠登録出願件数
2024年における意匠登録出願件数:32,065件

意匠登録出願に関しては、国内意匠登録出願の件数は横ばいであるものの、国際意匠登録出願(※ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際出願であって、日本国を指定締約国とし、かつ国際事務局により国際登録され、国際公表された出願)の件数が年々増加しております。
商標登録出願件数
2024年における商標登録出願件数:158,792件
商標登録出願の件数は、2017年をピークとして減少傾向が続いております。特に、日本の中小企業による商標登録出願の件数が2019年以降減少しております。

審査傾向
特許出願件数、特許登録件数、特許登録率の傾向は以下となります(横軸は出願年)。
出願年ごとの特許登録件数は安定しています。特許登録率は、年々上昇しており、直近では約60%となります。

2024年における拒絶査定不服審判の請求成立率(前置登録件数を含まない。)は78%でした。ここ数年、審判の請求成立率は70%後半で推移しています。
異議申立件数
特許及び商標の異議申立の件数の推移は以下となります。

無効審判請求件数
各法域における無効審判請求の件数の推移は以下となります。近年の特許及び商標における無効審判請求の件数は100件前後となっています。一方、2024年の特許無効審判請求の件数は186件となりました。

審査期間
特許出願
- スーパー早期審査のFA*(First Action)期間:0.6月
- 早期審査のFA期間:2.1月
- 通常審査のFA期間:9.4月
- 審査請求から権利化までの平均係属期間:13.8月
※ここで、FA期間とは、審査請求日から一次審査結果の通知日までの平均月数を示します。
意匠登録出願
- 早期審査のFA期間:2.0月
- 通常審査のFA期間:6.0月
- 出願から権利化までの平均係属期間:6.8月
商標登録出願
- 早期審査のFA期間:1.8月
- 通常審査のFA期間:6.1月
- 出願から権利化までの平均係属期間:7.3月
意匠・商標登録出願では、出願から審査結果まで約半年、出願から登録まで約7月が目安になるかと思います。
出典
https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2025/index.html