令和7年度における特許庁補助金事業「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」について簡単にご紹介します。本支援事業では、海外への事業展開等を計画している中小企業等に対して出願手続(特許、実用新案、意匠登録、商標登録)、中間応答(特許)、審査請求(特許)に要する経費の一部が交付されます。
応募受付期間
出願手続の補助金:
- (第1回) 2025年5月12日から6月2日 (※INPIT外国出願補助金)
- (第2回) 2025年9月上旬から下旬頃予定
※応募受付期間は窓口となるINPITと各地域実施機関とで異なります。例えば、神奈川県の窓口である神奈川産業振興センターの場合、第1回応募受付期限は2025年6月13日となります。
中間応答等の補助金:
2025年7月頃から2026年1月末頃
申請要件
申請要件は以下の全てを満たす必要があるようです。
- 申請者が個人事業主、中小スタートアップ企業、大学、試験研究機関等(日本国内に主たる事業所を有する者に限定)
- 応募時点で日本国特許庁に対して特許、実用新案、意匠又は商標出願済みであること。
- 採択後、指定する期限までに、国内出願を基礎に優先権主張を伴う外国出願をする予定の案件であること(商標については優先権不要)。
- 技術調査等の結果から、外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないこと。
- 外国で権利が成立した場合等において「当該権利を活用した事業展開を計画している」又は「商標出願に関し、外国における冒認出願対策の意思を有している」こと。
- 出願に必要な資金能力及び資金計画を有していること。
補助金対象となる外国出願、中間応答等案件

対象となる外国出願は以下の全てを満たす必要があるようです。
- 日本出願(日本特許庁を受理官庁としたPCT出願を含む。)と同一内容で行われる出願
- パリ優先権に基づく外国出願(特実意商*)、PCT国内段階移行**、ハーグ協定に基づく外国出願(意匠)、マドリッド協定議定書に基づく外国出願(商標)
- 日本出願と同一の名義で行われる出願
- 交付決定通知書後に代理人等に正式発注し、実績報告書提出期限までに出願手続き、代理人等の支払いを行い、実績報告書・証憑書類の提出を完了できること。
*商標登録出願の場合には必ずしもパリ優先権の主張を要しない。
**PCT出願の国内移行が対象であって、PCT出願自体は補助金の対象外。
補助金対象経費
- 外国特許庁等への納付手数料(出願料、審査請求料)
- 現地代理人費用*
- 国内代理人費用*
- 翻訳費用
*消費税や付加価値税(VAT)は補助金の対象外、送金手数料は対象
留意事項としては、交付決定前に着手していないことが条件
補助率・補助上限額

- 補助率:補助対象経費の1/2以内
- 補助上限額(出願手続):1法人(1個人)*当たり300万円以内
- 特許出願:150万円
- 実用新案登録出願、意匠登録出願、意匠登録出願:60万円
- 商標の抜け駆け対策出願:30万円
- 補助上限額(中間応答):1手続(各国別)あたり50万円(1法人当たりの上限額なし)
*一部の試験研究機関等は上限なし
注意点としましては、見積書の金額の半額が補助金の上限となります。例えば、見積金額200万円で申請したところ、実際に発生した費用が250万円であった場合には、見積金額200万円の半額である100万円が補助金上限となります。
スケジュールについての注意点

補助金申請が採択された場合には、採択結果通知後から実績報告書提出期限日までの経費が対象となります。
ご注意頂きたい点としましては、補助金申請前に早急に日本弁理士に外国出願の見積依頼をすることが肝要となります。
また、この助成制度を利用するためには、優先権主張期限日または国内移行期限日が重要となります。
例えば、2024年8月1日に日本出願をした場合には、優先権主張期限日は2025年8月1日となります。しかしながら、2025年度の第1回の採択決定通知書は8月上旬頃となりますので、その頃には優先権主張期限日が過ぎてしまいます。
従いまして、補助金を活用した直接外国出願やPCT国内移行等を検討されている方は、優先権主張期限日や国内移行期限日がまだ先であっても本申請について早めにご検討ください。
コメント

弊所は、外国出願に強い特許事務所となり、外国出願プラクティスを考慮したグローバル明細書の作成だけでなく、各国弁理士とのネットワークを重視しております。
特に、弊所では出願、審査、中間処理、登録までの各国の費用見積の作成に力を入れており、状況に応じて各国代理人との料金交渉にも対応いたします。
依頼人様のご予算や発明の技術分野等を考慮した最適な外国代理人(外国特許事務所)を弊所にて選定いたします。
代表弁理士自らが懇切丁寧に対応しますので、中小スタートアップ企業様の外国出願には弊所が適任かと思います。さらに、弊所は本補助金を活用した外国出願についても対応経験がございます。
外国出願でお悩みの際にはぜひ一度ご相談頂ければと思います。
出典
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html