令和6年度における特許庁補助金「中小企業等海外展開支援事業費補助金」について簡単にご紹介します。本支援事業では、海外への事業展開等を計画している中小企業等に対して出願手続(特許、実用新案、意匠登録、商標登録)、中間応答(特許)、審査請求(特許)に要する経費の一部が交付されます。
応募受付期間
出願手続の補助金:
- (第1回) 2024年5月30日から6月14日
- (第2回) 2024年8月19日から8月30日
- (第3回) 2024年11月18日から12月3日
中間応答、審査請求の補助金:
2024年5月30日から2025年2月7日
採択結果通知
- (第1回) 2024年8月上旬~中旬の予定
- (第2回) 2024年10月中旬~下旬の予定
- (第3回) 2025年2月上旬~中旬の予定
実績報告書&証憑書類の提出期限
- (第1回) 2024年12月13日
- (第2回) 2025年1月17日
- (第3回) 2025年7月
助成金振込は実績報告書提出から1~2か月となります。
申請者要件
申請者要件は以下の全てを満たす必要があるようです。
- 中小企業(個人事業主含む)、中小スタートアップ企業、小規模企業、大学等、国際出願関係手数料に係る軽減・支援措置対象である者(日本国内に主たる事業所を有する者に限定)
- 国内弁理士等の協力が得られる者
- 本事業後のフォローアップ調査等に協力する者
- 暴力団関連企業等ではない者
助成対象となる外国出願、中間応答等案件
対象となる外国出願は以下の全てを満たす必要があるようです。
- 日本出願(日本特許庁を受理官庁としたPCT出願を含む。)と同一内容で行われる出願
- パリ優先権に基づく外国出願(特実意商*)、PCT国内段階移行、ハーグ協定に基づく外国出願(意匠)、マドリッド協定議定書に基づく外国出願(商標)
- 日本出願と同一の名義で行われる出願
- 交付決定通知書後に代理人等に正式発注し、実績報告書提出期限までに出願手続き、代理人等の支払いを行い、実績報告書・証憑書類の提出を完了できること。
*商標登録出願の場合には必ずしもパリ優先権の主張を要しない。
助成対象経費
- 外国特許庁等への納付手数料
- 現地代理人費用
- 国内代理人費用
- 翻訳費用
留意事項としては、交付決定前に着手していないことが条件
補助率・補助上限額
- 補助率:助成対象経費の1/2以内
- 補助上限額(出願手続):1法人(1個人)*当たり300万円以内
- 特許出願:150万円
- 実用新案登録出願、意匠登録出願、意匠登録出願:60万円
- 冒認対策商標出願:30万円
- 補助上限額(中間応答):1手続(各国別)あたり50万円(1法人当たりの上限額なし)
*大学等は上限額なし
スケジュール(発注、出願、申請)
補助金申請が採択された場合には、採択結果通知後から実績報告書提出期限日までの出願が対象となります。例えば、弊所に本助成に基づく外国出願をご依頼される場合には、第二回の助成金申請に関しては以下のスケジュールで動く予定となります。
- 7月-8月:顧客より外国出願の見積依頼&現地代理人の選定(コンフリクトチェック含む)
- 8月中旬~下旬: 顧客側にて補助金申請
- 10月中旬~下旬: 補助金申請の採択結果通知
- 10月下旬:補助金申請が採択された後、顧客より外国出願の正式依頼を受ける
- 10月下旬から11月下旬:英文明細書と英文図面の作成
- 12月上旬:非英語圏の現地代理人(例えば、中国・韓国)に出願依頼(Pre-order)
- 12月中旬:顧客からの英文明細書についての修正指示
- 12月下旬:非英語圏及び英語圏の現地代理人に出願指示
- 1月上旬:各国の現地代理人より出願完了報告書と請求書を受領
- 1月上旬:国内代理人費用と外国代理人費用(庁費用含む。)を含む請求書を顧客に送付
- 1月中旬:顧客側にて実績報告書と証憑書類の提出
ご注意頂きたい点としましては、補助金申請前にお早目に日本弁理士に外国出願の見積依頼をすることが肝要となります。
また、この助成制度を利用するためには、優先権主張期限日または国内移行期限日が重要となります。
例えば、2023年7月1日に日本出願をした場合には、優先権主張期限日は2024年7月1日となります。しかしながら、2024年度の第1回の採択決定通知書は8月となりますので、その頃には優先権主張期限日が過ぎてしまいます。
従いまして、パリ優先権に基づく外国出願を検討されている方はお早目に本申請についてご検討頂くのが良いかと思います。
コメント
弊所は、外国出願に強い特許事務所となり、外国出願プラクティスを考慮したグローバル明細書の作成だけでなく、各国弁理士とのネットワークを重視しております(外国弁理士とは積極的に連絡を取り合っております)。
特に、弊所では出願、審査、中間処理、登録までの各国の費用見積の作成に力を入れており、状況に応じて各国代理人との料金交渉にも対応いたします。
また、リーズナブルな料金を強みとする現地事務所から一流弁理士を揃えた現地事務所までご要望に応じた最適な外国特許事務所をご紹介可能となります。事務所の選定は柔軟に対応可能となりますし、事前に外国事務所側のコンフリクトチェックも対応致します。
代表弁理士自らが懇切丁寧に対応しますので、中小スタートアップ企業様の外国出願には弊所が特に適任かと思います。
弊所IPStartの強みは、中小スタートアップ企業外国出願となります。
外国出願でお悩みの際にはぜひ一度ご相談頂ければと思います。
出典
https://www.jiii.or.jp/kaigai-hojo/index.html
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html