2024年における世界の知財統計レポートがWIPO(世界知的所有権機関)より発表されていましたので、簡単に本レポートの概要をご紹介したいと思います(本記事は、WIPO IP Facts and Figures 2025の内容に基づいて作成されております)。
世界の特許、実用新案、商標、意匠の出願件数
2024年における世界の特許、実用新案、商標、意匠の出願件数は以下となります。
- 特許の出願件数は、約370万件(前年比4.9%増↑)
- 実用新案登録出願の出願件数は、約330万件(前年比4.0%増↑)
- 商標登録出願の件数*は、約1520万件(前年比0.1%減↓)
- 意匠登録出願の件数**は、約160万件(前年比2.2%増↑)
*商標登録出願の件数は、指定商品/役務の区分(class)の数に基づいてカウントされています。
**意匠登録出願の件数は、意匠の数に基づいてカウントされています(※多意匠一出願の国があるため)。

WIPO IP Facts and Figures 2025を引用
出願地域の傾向
2024年における出願地域の傾向は以下となります。
- 世界の特許出願件数のうち約70.1%はアジアから出願されている。北米は17.1%、欧州は9.7%
- 世界の実用新案登録出願件数のうち約98.7%はアジアから出願されている。
- 世界の商標登録出願件数のうち65.6%はアジアから出願されている。欧州は17.4%
- 世界の意匠登録出願件数のうち68.3%はアジアから出願されている。欧州は23.3%
2013年時点では、世界の特許出願件数のうちアジア地域の占める割合は60%でした。
アジア地域のうち中国、日本、韓国、インドの四カ国のシェアは95.2%となります。

WIPO IP Facts and Figures 2025を引用
国別の特許出願件数の分布
上位五庁(中国、米国、日本、韓国、欧州特許庁)における特許出願件数の割合は以下となります。

中国出願の件数が全体の49.1%を占めております(2014年当時の中国の割合は34.6%でした)。次に、米国出願(16.2%)、日本出願(8.2%)、韓国(6.6%)、欧州特許庁(5.4%)の順番となります。
各国出願人の特許出願件数
各国出願人の特許出願件数は以下となります。

中国出願人が前年と同様に最も特許出願件数が多くなります(約180万件。前年比9.3%増↑)。
米国出願人は世界第二位の特許出願件数となります(約50.1万件。前年比3.7%減↓)
日本出願人は世界第三位の特許出願件数となります*(41.9万件、前年比1.1%増↑)
*日本国特許庁が発行する特許庁ステータスレポート2025では、2024年度における日本出願人による日本への特許出願件数は20.8万件となっています。即ち、41.9万件-20.8万件=20.8万件が日本出願人による外国出願(PCT出願含む)の件数であると推定されます。
また、昨年度に引き続きインド出願人の特許出願件数の増加が顕著となっております(前年比19.1%増↑)。一方、上位10カ国の出願人のうちドイツを除く欧州諸国の出願人の特許出願件数は減少しました。
次に、中位国の出願人の特許出願件数の傾向は以下となります。

トルコ(前年比14.6%増↑)、ブラジル(前年比9.6%増↑)、インドネシア(前年比45.9%増↑)、タイ(前年比17.6%増↑)、ベトナム(前年比24.2%増↑)の出願人の特許出願件数が大きく伸びていることがわかります。
また、北朝鮮の出願人による特許出願件数が約7000件となる点も注目に値します。
世界の特許権、実用新案権、意匠権、商標権の数
2024年における世界の有効な特許権、実用新案権、商標権、意匠権、地理的表示の件数は以下となります。
- 特許権の数は、約1970万件(前年比6.0%増↑)
- 実用新案権の数は、約1190万件(前年比3.8%減↓)
- 商標権の数は、約9320万件(前年比6.1%増↑)
- 意匠権の数は、約610万件(前年比0.2%増↑)
- GI(地理的表示)の件数は、62,300件*
*GIの件数には二国間、多国間協定を通じて効力を有するGIが含まれているため、実質的なGIの件数は24500件となる(日本のGIの件数は565件)。

登録数の上位国
特許権の登録数(総数1970万件)の上位国は以下となります。
- 中国:約570万件
- 米国:約350万件
- 日本:約210万件
商標権の登録数(総数9320万件)の上位国は以下となります。
- 中国:4980万件
- 米国:360万件
- インド:300万件
意匠権の登録数(総数610万件)の上位国は以下となります。
- 中国:310万件
- 米国:45万件
- 韓国:41万件
中国特許庁での商標権・意匠権の登録件数が突出して多いことが分かります(世界の登録数の半数以上が中国の商標権・意匠権となる)。
発明の技術分野
五庁に特許出願された発明の技術分野の傾向は以下となります。

全体的にはコンピュータ技術(ソフトウェア分野)の出願件数が最も多いことが分かります。
- 中国:1.コンピュータ技術、2.測定、3.電気機器/エネルギーの順番
- 米国:1.コンピュータ技術、2.医療技術、3.デジタル通信の順番
- 日本:1.電気機器/エネルギー、2.コンピュータ技術、3.輸送機器の順番
- ドイツ:1.輸送機器、2.電気機器/エネルギー、3.測定の順番
- 韓国:1.コンピュータ技術、2.電気機器/エネルギー、3.デジタル通信の順番
米国ではデジタル通信や医療技術の特許出願も多い点が注目に値します。日本では電気機器とコンピュータ技術が上位となっていることが分かります(2023年では輸送機器の件数がコンピュータ技術の件数よりも多かったです)。ドイツでは、コンピュータ技術の出願が少なく、輸送機器の出願がメインとなります。韓国でも日本と同様に電気機器とコンピュータ技術が上位となっています(2023年では半導体の件数がデジタル通信の件数よりも多かったです)。
※本記事は、WIPO IP Facts and Figures 2025の情報に基づいて作成されております。


