経産省より「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」が公表されておりましたので、本記事でもご紹介いたします。特に、本ガイドブックでは、知的財産権(主に著作権)の側面からの生成AI利活用に関するインサイトが紹介されており、生成AIと知財との問題点が簡潔且つ分かり易くまとめられております。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/aiguidebook.html
本ガイドブックにおいて、重要と思われる三点を以下にご紹介します。
- AI生成物の利用に伴う他人の著作物の著作権侵害(33ページ参照)
- AI生成物の類似性(他人の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得可能かどうか)
- 他人の著作物に対する依拠性(依拠性は、生成AIの利用者の認識に関わらず、生成AIの開発・学習段階で他人の著作物が学習されていれば、通常は認められうる。)
- 生成AIの開発・学習段階における他人の著作物の利用(29ページ参照)
- 非享受目的と併存して、著作物に表現された思想又は感情を享受する目的(享受目的)があると評価される場合や著作権者の利益を不当に害することとなる場合、著作権法30条の4*は適用されない。即ち、かかる場合には、学習データとして他人の著作物を利用する行為は著作権侵害を構成する。
- AI生成物の著作物性(54ページ参照)
- AI生成物が著作権法で保護される著作物にあたるかどうかは、人の創作的寄与の程度等を総合的に考慮して判断される。例えば、創作的表現といえるものを具体的に示す詳細な指示や、AI生成物を確認し指示・入力を修正しつつ試行を繰り返すことは、人の創作的寄与の程度を高める事情となる。
*著作権の権利制限規定の一つであり、著作物を生成AIの学習データとして利用する等の情報解析を目的とした著作物の利用行為は、著作権の効力が及ばない。
(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合
生成AIに関する知財の問題点については、またご紹介したいと思います。