特許庁ステータスレポート2024から見る各法域の日本出願の傾向

特許庁よりステータスレポート2024が発行されましたので、今回は当レポートから見る各法域の日本出願の傾向について簡単にご紹介します。以下に示す各グラフはステータスレポート2024に掲載されたものとなります。

特許出願件数

2023年における特許出願件数:300,133件
‐PCT出願からの国内移行件数:75,687件
‐国内移行を除く特許出願件数:224,446件

2023年における特許出願件数は、2022年から約1万件増加し、2019年以来の30万件台となりました。

出願人の国籍別の傾向は以下となります。

日本を除くと米国、中国、韓国、ドイツの順に日本への特許出願件数が多い結果となっております。外国からの日本出願の大半がPCT出願経由であることが分かります。

また、2022年の日本出願人による国内出願の件数が19.0万件だったのに対して、2023年の日本出願人による国内出願の件数は19.9万件となっております。即ち、2023年の特許出願件数の増加要因は、国内出願の増加によるものであると理解されます。

外国出願人による出願(外内出願)に関して、欧米系の出願人による外内出願では外国語書面出願が積極的に利用されている一方、東アジア系の出願人による外内出願では外国語書面出願が積極的には利用されていないことがわかります。

実用新案登録出願件数

2023年における実用新案登録出願件数:4,949件

意匠登録出願件数

2023年における意匠登録出願件数:31,747件

商標登録出願件数

2023年における商標登録出願件数:164,061件

商標登録出願の件数は、2017年をピークとして減少傾向が続いております。特に、日本の中小企業による商標登録出願の件数が2019年以降減少しております。

審査傾向

特許出願件数、特許登録件数、特許登録率の傾向は以下となります(横軸は出願年)。

出願年ごとの特許登録件数は安定しています。特許登録率は、2015-2018年の特許出願において約60%となります。

次に、拒絶査定不服審判における請求成立率(前置登録件数を含まない。)の推移は以下となります。2023年における請求成立率は78%でした。ここ数年、審判の請求成立率は70%後半で推移しています。

審判の成功率が高い点は注目すべき点となります。審判官合議体から発行された拒絶理由通知に対する応答において、請求項が減縮補正されるのも一因かと思います。

異議申立件数

特許及び商標の異議申立の件数の推移は以下となります。特許の異議申立件数は2021年から増加に転じており、2023年における申立件数は過去最高の1411件でした。

無効審判請求件数

各法域における無効審判請求の件数の推移は以下となります。近年の特許及び商標における無効審判請求の件数は100件前後となっています。

特に、特許異議申立件数は増加している一方で、特許無効審判の請求件数が漸減している点は注目すべき点です。異議申立期間(特許公報発行日から6月以内)の制約があるものの、ダミーによる申立が可能な点や弁理士費用等を総合的に判断すると異議申立の方が利用しやすいのではないかと思います。

審査期間

特許出願

  • スーパー早期審査のFA(First Action)期間:0.8月
  • 早期審査のFA期間:2.2月
  • 通常審査のFA期間:10.0月
  • 審査請求から権利化までの平均係属期間:14.7月

※ここで、FA期間とは、審査請求から一次審査結果の通知までの平均月数を示します。

意匠登録出願

  • 早期審査のFA期間:1.8月
  • 通常審査のFA期間:6.0月
  • 出願から権利化までの平均係属期間:7.0月

商標登録出願

  • 早期審査のFA期間:1.8月
  • 通常審査のFA期間:5.4月
  • 出願から権利化までの平均係属期間:6.9月

商標登録出願に関して、2023年のFA期間は5.4月となっており、前年よりも2.6月短くなっております。

出典

https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2024/index.html

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