2024年1月1日より中小企業・スタートアップ企業・個人事業主等(以下、中小企業等)を対象とした国際出願(PCT出願)の庁手数料の軽減措置が開始されました。この軽減措置によって、国際出願に係る庁手数料が大幅に減額となります。
具体的には、庁手数料のうち送付手数料・調査手数料・国際出願手数料が軽減されます。中小企業(法人・個人事業主)であれば、これらの手数料が1/2に軽減され、スタートアップ企業(法人・個人事業主)であれば、これらの手数料が1/3に軽減されます。
尚、本軽減措置に伴い従来実施されていた国際出願促進交付金制度は昨年末で廃止されました。
本制度の留意点としましては、日本語の国際出願(PCT出願)に適用される一方で、英語の国際出願(英文PCT出願)には適用されない点となります。
詳しい内容は以下のリンクをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/pct_keigen_shinsei_202401.html
また、以下に庁手数料がどの程度軽減されるかをシミュレートしましたので、ご参照ください。
弁理士を通じて国際出願をされる場合には、庁手数料に加えて弁理士手数料が発生しますのでご留意ください。
基礎出願の各種パラメータ
国際出願の基礎となる基礎日本出願の各種パラメータを以下とします。
- 独立クレームの数:1
- 従属クレームの数:5
- 明細書の枚数:10
- 図面の枚数:5
軽減適用なしの場合の庁手数料
国際出願手数料 | 217,700円 |
頁超過料 | 17,500円 |
オンライン提出減額料 | -49,100円 |
送付手数料 | 17,000円 |
国際調査手数料 | 143,000円 |
手数料合計 | 346,000円 |
※願書の頁数は4としております。
1/2軽減(中小企業等)の場合の庁手数料
国際出願手数料 | 108,850円 |
頁超過料 | 8,750円 |
オンライン提出減額料 | -24,550円 |
送付手数料 | 8,500円 |
国際調査手数料 | 71,500円 |
手数料合計 | 173,050円 |
172,950円の庁手数料の減額となります。
1/3軽減(スタートアップ企業等)の場合の庁手数料
国際出願手数料 | 72,500円 |
頁超過料 | 5,810円 |
オンライン提出減額料 | -16,360円 |
送付手数料 | 5,660円 |
国際調査手数料 | 47,660円 |
手数料合計 | 115,330円 |
230,670円の庁手数料の減額となります。
英文PCT出願の場合の庁手数料
最後に英語での国際出願(英文PCT出願)をした場合の庁手数料は以下となります。
国際出願手数料 | 217,700円 |
頁超過料 | 10,000円 |
オンライン提出減額料 | -49,100円 |
送付手数料 | 17,000円 |
国際調査手数料(調査機関JPO) | 16,9000円 |
手数料合計 | 364,600円 |
※国際調査機関は日本特許庁(JPO)としております。JPO以外の国際調査機関の手数料は以下となります。
- 欧州特許庁・・・280,000円
- シンガポール特許庁・・・244,300円
- インド特許庁・・・18,000円
欧州特許庁では課題解決アプローチに基づく進歩性判断となると共に、明確性要件(Clarity)の判断が他国と比べて厳しいため、欧州への国内移行を予定してしない場合には欧州特許庁以外の調査機関を選択されることをお勧めします。
一方、欧州への国内移行を予定されている場合には、欧州特許庁を調査機関として選択することで欧州の移行段階での費用を抑えることが可能となります(補充調査報告書が発行されないものの、出願人は国内移行後において国際調査見解書で指摘された拒絶理由に応答する必要があります)。
国内移行に係る費用(外国出願費用)に関する半額助成については、こちらをご参照ください。
また、日本出願を既に他事務所にご依頼されている場合でも、外国出願に適した英文明細書ドラフティング(若しくは基礎日本出願明細書のリバイス作業)を弊所にて行いますので、PCT出願若しくは外国出願のお見積り等につきましてお気軽にお問い合わせください。