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電子特殊申請で名義変更の申請をする流れについて解説!

令和5年度の知的財産分野の法改正に伴い、2024年1月より特許庁に郵送する必要があった書類(例えば、譲渡証書、手続補足書、移転登録申請書、包括委任状、新規性喪失の例外適用に係る証明書等)がオンラインで提出できるようになりました。

具体的には、特許庁が提供するインターネット出願ソフトの電子特殊申請を利用してこれらの書類を提出することになります。

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本記事では、譲渡証書(特に、特許を受ける権利の名義変更)をオンライン提出する流れについて解説します。電子特殊申請による譲渡証書の提出方法については具体的な解説記事が少ないため、少しでも参考になれば幸いです。

ちなみに、譲渡証書等は従来同様に郵送で提出することも可能となります。

また、特許庁からの特許(登録)証や識別番号通知書等の書類のオンライン発送は、今年の3月以降から開始予定となります(参考ページ)。

郵送による従来の提出方法

電子特殊申請による名義変更の申請の流れを説明する前に、従来はどのように特許を受ける権利等の名義変更の申請をしているかについて説明します。

上図は、名義変更の一般的な流れを示しています。名義変更に必要な書類は以下となります。

  • 名義変更届
  • 手続補足書
  • 譲渡証書(譲渡人の押印要)
  • 印鑑証明書(既に提出済の場合には省略可。※実印による証明書も可)
  • 委任状(個別若しくは包括)

名義変更届については、従来のやり方でも同様にオンライン提出が可能となります。この際に、名義変更に係る印紙代4200円を納付する必要があります。

譲渡証書には譲渡人の押印が必要となります。また、印影の真正性を検証するための印鑑証明書も必要となります。

名義変更届に添付すべき譲渡証書と印鑑証明書についてはオンラインで提出できないため、別途、手続補足書に添付して特許庁に紙書面として郵送します(名義変更届の提出から3日以内に提出要)。

委任状が個別委任状の場合には手続補足書に添付可能ですが、委任状が包括委任状の場合には包括委任状提出書を別途提出する必要があります。譲渡人の出願代理人が名義変更の手続をする場合には委任状は不要となります(こちらを参照)。

名義変更届の一例(個別委任状の場合、提出物件の目録は必要なし)
手続補足書の一例(※個別委任状の場合、補正の内容と提出物件の目録に委任状の記載を追加)

このように、従来のやり方では譲渡証書、印鑑証明書、委任状を郵送する必要がありました。

電子特殊申請による新しい提出方法

次に、電子特殊申請による名義変更の申請の流れを説明します。

電子特殊申請において名義変更に必要な書類は以下となります。

  • 名義変更届
  • 手続補足書
  • 譲渡証書(ZIPファイル)
  • 委任状(個別若しくは包括)

名義変更届の記載事項は従来のものと同一となります。手続補足書と包括委任状提出書は電子特殊申請によりオンライン提出可能となります。

電子特殊申請の操作方法は難しいものではなく、選択操作画面に従い送付票を作成→オンライン出願の流れとなります。

手続補足書の記載の一例を以下に示します。

(※個別委任状の場合、補正の内容と提出物件の目録に委任状の記載を追加)

委任状は押印不要となりますので、電子署名は不要となります。包括委任状提出書を電子特殊申請する場合には、包括委任状のPDFファイルを添付するだけとなります。

一方、譲渡証書に関しては押印の代わりに譲渡人の電子署名が必要となります。

具体的には、以下図に示すように、デジタル庁GPKI電子署名アプリ(以下、電子署名アプリ)を用いて、譲渡証書と、XMLファイル(電子署名)と、電子証明書とを含むZIPファイルを作成する必要があります。電子署名は、譲渡証書のハッシュ値(SHA-256)を秘密鍵で暗号化したものとなります。

つまり、譲渡人の押印と印鑑証明書が不要となる代わりに、譲渡人側で電子署名アプリを用いて上記ZIPファイルを作成する必要があります。

名義変更に関して電子特殊申請を利用する場合、譲渡人側で電子証明書の用意と電子署名アプリのインストールが必要となりますので、この点が若干ハードルが高いかもしれません。

名義変更に関しては若干ハードルが高いものの、電子署名が不要な書類(包括委任状提出書や新規性喪失の例外適用に関する証明書等)については電子特殊申請により書類提出業務が効率化されると思います。

以上参考となれば幸いです。

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